マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する (NHK出版新書 569)

  • NHK出版 (2018年12月11日発売)
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感想 : 47
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うーん。日本を見て回りながら語った一章と石黒教授と対談してる三章は、予備知識なしに読むと理解に苦しむ部分が多々。一章は発言してる文脈とか、言葉を補わないとわからんよね。三章の方はいわゆる一般的な意味で使われてないように思われる述語があって面食らう。技術について機能主義的見方をするというのは理解できるけど、そこからなんで解釈主義って言葉が出てくるんだ?
そう考えると何というか新書としての役目を果たしてるのが二章だけだなと。ただそれも触りの部分をさらっと語ってるだけなので、ガブリエルの考え方の中心がちょっと見えにくいのが残念。認識論の文脈でいえば、真か偽かではなく確率的な認識論が標準になって久しいが、そこら辺についてどう考えてるのかは気になる。倫理は相対的ではないと言っても、その土台になる認識が確率論的な現実なのだから。
あと、読んでて一番感じたのが、日本とかドイツとかお国柄的なのを説明に持ってくるやり方って、いまだに説得力のある方法なのかねぇ。正直、理論モデルの1つとして何が見えてくるのかを期待するのはわかるけど、それを前提に何かを語るのは行き過ぎに思える。この本とは関係ないが、ドイツと日本の話でいうと、トッドの家父長制とかの議論も端から怪しくしか思えない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年4月29日
読了日 : 2019年4月29日
本棚登録日 : 2019年4月29日

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