31才から41才になるまでの10年間のエッセイ。離婚したばかりで仕事もお金もほとんどなかった頃から再婚、直木賞受賞まで。丁度「恋愛中毒」「プラナリア」を執筆した時期でもある。
前半は30代独身女性向け雑誌Domaniのエッセイが中心。
後半は、色々な媒体で綴られた日常の一コマ、20代の私、日々思うことがまとめられている。
彼女の作品を貪り読んでいた20代後半の私。田舎から関東の大学に出て、紆余曲折あって東京に戻り一人暮らししていた頃。
朝起きて仕事に行き、小さなアパートに疲れ果ててもどる。そんな生活の中で、彼女の小説は、抱えていた苦しさを代弁してくれる理解者で、目に映るごく普通の風景や日常を彩ってくれた。
あの頃、筆者である彼女は30代後半だったのだ。
前半部の男だの女だののエッセイは正直、もはやどうでもいい。それは、エッセイには心に染みるタイミングがあるからなんだと思う。
後半部はやっぱり面白かった。端的に本質を突く表現はさすが。「家庭は人格工場だから..」とか、さりげない一言に、あ〜、メモ!という気持ちにさせられる。
時を経て、私の経験値も上がり、心の筋肉も体力もついた今、本書の中のこの言葉を誰かに伝える機会があればいいな、と思う。
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物事の解決法が分からない、ということは、つまりまだ解決する力がないということだ。判断力というのは体力と同じで時間をかけて地道に作り上げていくしかないのだと思う。
そう、今は苦しくても、少しずつ経験値を上げていけば力はつくんだよ。きっと楽になる。
- 感想投稿日 : 2023年3月21日
- 読了日 : 2023年3月21日
- 本棚登録日 : 2023年3月21日
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