韓非子 (第3冊) (岩波文庫 青 210-3)

著者 :
  • 岩波書店 (1994年6月16日発売)
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感想 : 13
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第3巻でも引き続き現実主義に立って、理想論ではなく現実の統治とはいかなるものかを説いている。

前半の説話集では、宋襄の仁や矛盾などの説話が語られている。宋襄の仁は、まさに孔子が理想とする仁の発想が、リアルな政治の現実では役に立たないことも多いことを示している。また、全体として、完全無欠ではない君主が利益に左右される臣下をいかに統率して行くかという点に重きが置かれている。理想論よりは、今の現実社会にも妥当するのでは無いかと思う。

後半の難とされる一連の章では、議論の様相がディベートとなる。前提として過去の説話を紹介した上で、或るひと曰く、という形で別の現実的な視点から批評する。最後の方の章では、批評が二段構え(別々の視点から批評を二回)となっており、奥深さを増している。言いがかりでは?という項目もなきにしもあらずだが、議論の立て方を学ぶ上でも参考になると思う。また、批評の対象として理想の君主であった斉の桓公やその宰相の管仲がかなりの頻度で槍玉に上がっており、題材の選び方も面白かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年9月21日
読了日 : 2022年9月21日
本棚登録日 : 2022年9月21日

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