わたしを離さないで

  • 早川書房 (2006年4月22日発売)
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いまやフライパンはテフロン加工があたり前になってしまいましたね

昔ながらのフライパンは登山家のキャンプ用具か職人気質の料理人が営む洋食屋の厨房でしか見かけなくなりました(そんなわけないだろ)
もちろんあっという間に淘汰されてしまったのはテフロン加工が圧倒的に使いやすいからですよね
焦げつきが少なく手入れも簡単
ですが注意しなければいけないこともあります
最初のころは自分もよく奥さんに怒られました

『たわしで擦らないで』なんちて

さて『わたしを離さないで』です

前々からカズオ・イシグロの作品は読んでみたかったんです
なにしろノーベル賞作家ですからね

で、実際に読んでみて思ったのは
凄い「したたか」だな〜ってことです
ちょっと言葉悪いかもしれませんが、このお話し設定が凄い突飛なのにずっと普通の顔してるんですよ

こちらが「こんなん現実にはありえないよ!倫理的にもおかしいし!」と声高に叫んでも逆にぽか〜んとされちゃうような感じ
え?いやいやそんなこと言われましても…みたいな
で特に説明もされずに当たり前に進んで行きます
最後にはあれ今のイギリスってこんな感じなん?みたいなね
あ、なんか自分の方が間違ってたんかな
なんかすみませんでしたっていう

完全に詐欺師のやり口w

私は単に同じ施設に育った男女3人の恋や悩み、希望、秘密そして別れを描いただけですよ
そちらがどう感じるかは自由ですよ

そして自分はまんまとそれが現実のような気がしてしまったのです

そしてそしていつかそんなことが本当に現実になって
その現実を世界が普通に受け入れて特になにも感じない
そんな日がきたら
それはかなり嫌だな〜と思いました

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: カズオ・イシグロ
感想投稿日 : 2022年4月13日
読了日 : 2022年4月13日
本棚登録日 : 2022年4月6日

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