無意識さんの力で無敵に生きる ―思い込みを捨て、自由自在の人生を手に入れる方法―

著者 :
  • 青山ライフ出版 (2014年12月17日発売)
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感想 : 18
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「無意識の自動運転に任せたとき、貴方の人生は美しく変わる」というキャッチが入っている。

著者は、生きにくさを感じる人の心の自由を追求する心理カウンセラーであるが、トラウマ研究やアルコール依存の研究に力を入れておられるようである。今回、著者の本は初。

「無意識」に着目されている点に興味がわいたので読んで見ることにした。

フロイトもユングも無意識が意識に影響を与えているとしており、心理療法と言われるものは、端的に言えば、無意識の部分に治療を施し、意識や行動に現れる問題を改善していくというものであると思うが、本書の著者が語る「意識/無意識」の角度はそれとは少々異なるように感じた。

どちらかというと、「意識」に焦点を当て、「意識」というのはいかに「いい加減なものか」ということを述べられていたように思う。

親子関係、友人・知人との付き合い、上司・部下の関係など、人間関係における「生きづらさ」を改善することの一つのヒントが書かれていたと思う。

他人の行動や言葉に理不尽を感じたり、他人に対して行った自分の行動や言動に悔やみきれず苦しみ続けたり、というようなことは誰でもよくあることだが、そういうときの自分の感情=意識は、たいてい自身の中の価値基準に基づいて「正しい/誤っている」の判断を行った結果、自分が正しくて相手が誤っていると感じたときに、理不尽を感じたり、自分の行動が誤っていたと判断したときに、悔やむ気持ちが現われたりするという。

しかし、果たしてそういう判断に意味があるのかと著者は言う。自分が感じている気持ちは、主観的なものであり、極端にいえば「思い込み」とか「決めつけ」であると。本当の他人の気持ちはわからないものであり、自分の本当の気持ちすらわからないものだと著者は言う。

意識というのは、一部の情報のみで全体だと認識してしまったり、相手が無表情だったりすると、勝手に想像して、自分は嫌われている(=自分には嫌われるような誤った部分がある)などと「思い込み」が働くという。

こういう「正しい/誤っている」から解放されると、心が自由に開放されるという。意識を取り除けば(=考えることをしなければ)、無意識の自動運転状態となり、価値基準から解放されて自由となり、可能性が広がり、自我が豊かになる。自我が豊かになれば、人の中に美しさを見出すことができるようになると。

著者は、「意識を打ち消して無意識の力を使うテクニック」として3点あげている。

⓵意識は主観的でいい加減なものだから、「ホントかよ、俺」と自分のその意識をいったん打ち消してみよ。

②自分にマイナスな考えが浮かんだ時にも、「人の気持ちはわからない」「自分気持ちすらわからない」と呪文のように唱えてみれば、意識から解放され無意識の自動運転状態に入れる。

③意識的な判断で苦しんでいる場合には、その判断とは逆の言葉掛けで、自分の意識を打ち消すことにより、相手の態度も変化する。

主観的な意識に振り回されることなく、心をニュートラルな状態にして、無意識の自動運転状態とすれば、様々なことを受け入れることができ、心の自由度が高まるというひとつの手法を示されたものであり、生き方の参考にはなると思うが、根本的な心理療法とはまた一線を隔するものであると思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 大嶋信頼
感想投稿日 : 2020年6月28日
読了日 : 2020年6月28日
本棚登録日 : 2020年6月26日

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