隅から隅まで楽しめる作品。・・・泣けもするけど(しかも号泣)
最初はよくある「老人と若者の友情」かなと思ってましたが、「よくある」ではなかった。いや、よくあるかもしれないけど、「万寿子さんと京子」の間柄がちゃんと読んでいるうちに、唯一無二の関係だと印象が変貌してゆくのです。
万寿子さんも京子もどっちも意地っ張りで、無駄に頑固で(笑)
「ブス」「ババア」と罵倒しあいながら、でも間柄を聞かれれば「友人」と即答できる、なんだろうこの快感?パズルを合わせていく途中の調子のいい感じみないな。この辺りまでくると面白くて手が止まらない。
二人の友情。でも二人には現実として大きな年齢差があって、それはどうやっても埋められるものではなくて。埋められるものなら埋めたい、零れ落ちるすべてを受け止めたい、そんな京子を、万寿子さんはその年齢差分先に進んでゆく。このままで!と願ってしまう。もちろん、そんな願いは届かないけれど。
二人の関係の他に、同僚との関係や近所の人との関係が絡まってきて、深く絡むようで浅いようで、そんな描写をみていると、時間だけが平等に流れているんだと意識してしまいます。
読後に作者が男性だったことに驚きました。実はこれが一番驚きかも(笑)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説 か行の作家
- 感想投稿日 : 2012年10月21日
- 読了日 : 2012年10月21日
- 本棚登録日 : 2012年10月21日
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