たそがれ清兵衛 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年7月15日発売)
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本棚登録 : 2253
感想 : 216
5

映画化もされた名作。
年を取ってから読むと沁みる作品。
8っつの短編で構成された短編集。

たそがれ清兵衛
うらなり与右衛門
ごますり甚内
ど忘れ万六
だんまり弥助
かが泣き半平
日和見与次郎
祝(ほ)い人(と)助八

全体のコンセプトは、主人公が冴えない中年であることと、剣の達人であることだ。
普段は馬鹿にされている主人公が、組織の権力争いに巻き込まれたり、身内の危機を助けるために重い腰を上げるというパターンである。
また、主人公に出世欲や権力欲がないことも共通している。多くのサラリーマンは本小説の主人公の境遇に共感し、その剣の腕に憧れる。
要するに謙虚な男が人助けのために隠していた能力は発揮する、という黄金パターンである。時代劇で見飽きたパターンであるにも関わらず、これほど魅了されるのは「組織」の描き方が現代に通ずるリアルなものだからだろう。サラリーマンだからこそ共感してしまう作品だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年2月11日
読了日 : 2023年2月11日
本棚登録日 : 2023年2月6日

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