謎の独立国家ソマリランド

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  • 本の雑誌社 (2013年2月19日発売)
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とても採算の合わない取材で、物好きと仲間に称される高野さん。

アフリカは人類の発祥の地、
広大な土地にまだ未確認の地下資源も。
人口の多さは、巨大な市場にも。

建前上、国家として認められているのに、
国内の一部(もしくは大半)が、
ぐちゃぐちゃというなら、イラクやアフガニスタンなど
他にもたくさんあるが、その逆というのは
聞いたことがない。まさに謎の国、地上の「ラピュタ」

ソマリランドの存在する地域は
今もなお無数の武装勢力に埋め尽くされ
戦国時代の様相.「リアル北斗の拳」
陸が「北斗の拳」なら、海は海賊が「リアルワンピース」

そんな崩壊国家の一角にそこだけ、十数年も
平和を維持している国それがソマリランド。

509ページという分厚いノンフィクション。
ヒリヒリするような危険を背にしながら
高野さんはいたってマイペース。
なんでもお金に換算し、ふっかけてくる輩に
自称「ネギカモ」とつぶやきながら
見たいこと聞きたいことに奥深くまで潜入する。

同じソマリ人でもソマリ人を語るには
部族ではなく氏族を整理しなくては理解しがたい。
また、その文化も途中どこの国の植民地だったかで、
本来の文化の失われ度が違い、性格も違う。

イスラム過激派が国にとっては
「亭主元気でするがいい」ならぬ
「イスラム過激派元気で留守(国内にいないこと)がいい」
国としての成長を考えると、とかく閉鎖的で、
発展から遠ざかる考え方の過激派。
だが、政敵や敵国を退けるには必要。
キリスト教国家が敵国に打撃を与えるために
原理主義(これは本来キリスト教のことばです)を利用し
また、統治に失敗した元政府が倒れた時
その反動としてこのようなイスラム過激派、原理主義が
はびこるが、これを熱狂的に指示するのは
高圧的で、厳しい禁止事項があってもなくても
同じ何も持たざる者(貧民)たちのみ。
元の政権が倒れ、一時的に受け入れても
その内容を見るや、逃げ出す人々が難民になる。

まぁ、長くはありますが面白い一冊です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年2月11日
読了日 : 2016年2月11日
本棚登録日 : 2016年2月3日

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