日本語書体の美術品です。筆で書かれている文章、印刷された言葉にも人の心を洗う力のある本です。

巷にあふれる自己啓発本は「やればできる」と読者に努力を促すが、成功に達する(お金を稼ぐ力を得る)には才能(恐らく努力できる才能も含まれる)が必要で、それほど簡単なことではない。能力主義の世の中では、仕事ができる人ほど収入が多いのは当然のことだが、誰もが勝間和代のようにはなれない。生きていくうえでお金は必ず必要だが、お金持ちが必ずしも幸せではない。勝間和代の「やればできる」といったイデオロギーに対して、香山リカは精神科医の立場から、「勝間和代の本を読んで精神的に病んでいく人たちがいる」ことを指摘する。では、才能の無い人間がどうすれば幸せになれるかといった切り口で、いたって単純な「好きなことを仕事にする」、「フリーエージェントになる」、「マイクロ法人を設立する」といった事が紹介されている本です。

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