かもめのジョナサン完成版

  • 新潮社 (2014年6月30日発売)
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「完成版」の意味が知りたくてお邪魔してみると、何と新たに第4章が加わっていると言う…!こんな事ってあるのか⁈これは見ておかなきゃ損だとそのまま居座ることに。(こう書いておきながら、完成前を読んだことがない…)

ジョナサンをはじめ、かもめ一羽一羽に姓名が付けられているのがユニーク。そのおかげで人間にそのまま投影できそう。(と言うかそうなるようになっている?)

学問が興る時ってこんな感じなのかな?
一人(一羽)が見出した一つの事への素晴らしさを突き詰めようとするも周りは理解しない、しようとしない。馬鹿にしたり村八分にしたり。だからジョナサンの飛行に対する歓びが他鳥(?)に分かってもらえて切磋琢磨まで叶った時は自分も嬉しかった。

しかし彼が見出した「学問」や彼自身が美化され宗教じみたものに形を変えていくさまは、思い当たることがあり過ぎて心底ゾッとした。(五木寛之氏があとがきでそれを「法然」に例えられていて笑った。ちなみに自分が思いあたった中に「法然」はなかった笑)

作者が第4章を加えた経緯はまえがきに記載されている。正直なところそれを聞いても結局3で完結のままで良かったのでは?って4の途中まで思っていたけど、最終的には加えてくれたことに感謝していた。

学問だろうが何だろうが、全ては「〇〇が好き」+「自分が好きになった世界を広げたい」ってフィーリングから来ている。生きる意味とかごちゃごちゃ言う前に自分の「好き」を大切に育てていくことが我々かもめ、じゃなくて人間らしい生き方のはず。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年11月24日
読了日 : 2021年11月24日
本棚登録日 : 2021年11月24日

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