パイナップルの彼方 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (1995年12月18日発売)
3.29
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本棚登録 : 1411
感想 : 115
4

面白いなぁ、山本文緒。
どこにでもいる普通のOLのありがちな日常なのに、続きが気になってどんどん読んでしまう。
主人公の性格もいい人でもなく嫌な人でもなく、自分本位だけど葛藤もあって、生の人間の繊細な感情を、嫌味なくさらさらっと描けてしまう。
こんなに読みやすいのに、決して薄っぺらくない多面的な人物描写が魅力的。

古い小説かもしれないけれど、奇抜なストーリーや、複雑な設定で魅せる小説とは全く違う。
素朴なはずの登場人物や、舞台設定なのに不思議と引き込まれてしまう。

普通すぎるストーリーでありながら先が全く読めず、登場人物たちの織りなすいざこざも興味深い。
地雷男だけど引かれてしまう感覚や、そんな男に惹かれていることを認めたくないプライドへの共感も…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年5月10日
読了日 : 2022年5月10日
本棚登録日 : 2022年5月7日

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