とても惹かれた。
こういう戦国時代の話って戦いや殺し合い、疑い合いがあって読むのが辛い部分もあるのだけれど、だからこそ人間ってなんで生きているんだろうと自分の運命を振り返ることも多かったのかも。
ガラシャの場合、彼女の落ち度は何もないのに、戦国の世であるからこそ、その時々の時勢や時代の流れに逆らえない。
文章がうまいからか、玉子の運命の一つ一つがやるせなく、何度怒りを覚えたかわからない。
夫の忠興はやっぱり好きにはなれない…。
いいところもあったのだが、客観的に見て夫としては傍若無人過ぎやしませんか?
それでも、最後の玉子との別れにはグッときた。
玉子はもともと気丈だし、聡い女性だけれども、たくさんのものを失いすぎていた…キリストという信仰を得た後は、流されるだけであった運命から、ゼウスに捧げる人生ってを得た。
神を信仰することって、日本ではカルト的なイメージが強すぎるので怪しく思うところもどうしてもある。
でも、戦乱の世に生きる人々が神に仕えることで幸福感を得ることができたとすれば、信仰の力は偉大だと思う。
やっぱり人って、何か信じていないと生きていけないのではないか。
そういう意味では、織田信長も秀吉も家康も、誰かを疑い自分しか信じられない状況だったわけで、幸福ってなんだろうって考えさせられる。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年9月19日
- 読了日 : 2022年9月19日
- 本棚登録日 : 2022年8月22日
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