ウォール街の物理学者 (ハヤカワ文庫 NF 433)

  • 早川書房 (2015年6月4日発売)
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本棚登録 : 296
感想 : 15
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えっ、ウォール街で物理学を!?出来らぁ!な本作。

物理学というと天文学や量子力学とかをイメージするけど、金融の世界で求められる「モデル作成」と「数学的能力」を兼ね備えた物理学者たちが活躍する…という感じかな。
一人一人に焦点を当てて、彼らの歴史や提唱した理論を説明してくれるのは分かりやすくてGood。
少し考えれば当たり前だけど、完璧な「モデル」を作ることはできない。現実に限りなく近づけることは出来ても、やはりどこかでエラーが出てしまう。それが致命的になるのが複雑系(カオス系)であり、雪だるま式に事象が膨らむ経済界ともいえるわけだな。

今でこそアルゴリズムを使う<クオンツ>達は色んな分野で受け入れられるけれど、やはりそれを切り開いていった人たちはいる。完璧なモデルなどないけれど、それを一歩ずつ近づけていく科学という歩みの話でした。

10年くらい前の本なのでしょうがないけど、リーマン後の金融動乱についても知りたかったなぁ。つかやっぱりリーマンショックを一概にモデルのせいにするのはどうかと思うけど。アレはハイリスクな商品を証券という形で見えにくくした銀行側に責任の一端はあるんじゃーねーのとか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月19日
読了日 : 2023年8月19日
本棚登録日 : 2023年8月16日

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