黄緑色の小花模様のハードカバーの『ふたりのロッテ』という本が小学校の図書室にあった。本自体が素敵で憧れる気持ちと、名作然としていて敬遠したくなる気持ちと、両方感じていた。結局いちども読まずに卒業した。
子どもと図書館通いをしていたらそんな記憶がよみがえった。
今やネットで大抵のモノもデータも労せず手に入る時代。ちょっと調べたら、それは1990年の岩波少年文庫創刊40周年記念として刊行された特装版シリーズの中の一冊で、あの素敵な装丁はウィリアム・モリスのデザインだということがわかった。小学校の図書室の本はどれもおそろしく古い本のように思っていたけれど、私が入学したのは1991年なのだから、比較的新しい本だったということだ。
この「特装版」にこだわると新品ではどうも買えないようだが、中古なら出品している人がたくさんいることを知り、別に高値というわけでもないので迷わずポチる。ついに我が物に。モノとして可愛い。届いただけでまず所有欲が満たされる。
読んでみると、子どもに優しく語りかけるような文章が素敵だった。話の筋も、大人の事情をシビアに考えたらこうはいかないかもしれないけど、子どもの望む幸せを何より大事にしたらこうなる、ということが描かれていて、徹底して子どもの味方だなあという印象。主人公の少女たちが、自分の幸せのために知恵と勇気と優しさと行動力とをもって奮闘する姿もカッコいい。
そして「未読の古典名作をひとつやっつけたぞ」という満足感も。初ケストナーだったと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
子供向け?
- 感想投稿日 : 2021年6月19日
- 読了日 : 2021年6月15日
- 本棚登録日 : 2021年6月13日
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