一年三ヶ月前に読んだ『楽園のカンヴァス』に魅了された私
同様、大傑作であろう『暗幕のゲルニカ』をただただ「簡単に読んだら勿体無い」と思っていた為、ずっと気になる想いを温めて来ました(*≧∀≦*)
しかし、積読になっていた作品に、意を決して手を出す事にしました!
次に繋がる作品も読みたくなったのと、美術館に行く前に初心者でもわかる予備知識を植え付けたかったからです
そう言う訳で、1年3ヶ月分、丁寧に時間を掛けて読みました
そう、私には一気に読める様な作品ではありませんでした。。。
作品は、『ゲルニカ』を巡って、二つの時間軸が並行して展開されます
『ゲルニカ』‥‥巨大なカンヴァスに描かれた黒い線描と阿鼻叫喚
ゲルニカの惨事を再び甦らせ、殺し合いをやめない人類に対して突き付けた、ピカソ渾身の一作
制作当時の1940年代
ヒロインはドラ・マール
当時ピカソの恋人であり、写真家で、知的で華やかで、高慢ちきな女性
現代の2003年
ヒロインは、八神瑶子
ピカソの研究家であり、NY近代美術館(MoMA)のキュレーター
そして、両方の時代に共通して登場する、パルド・イグナシオ
物語のキーマンと言って良いのではないのでしょうか
いつもマハさんの作品を読むと、「何処から何処までが史実なの?」と気になってしまいます
気にしないでそのまま読めば良いのですが。。。
しかし巻末に、キーマンのパルドとルースと2003年の話は創作だ、と記載されていたので、それを知ったら頭の中がスッキリしました
私は読みながら、ピカソと他の作品に出てくるゴッホを、つい比べていました
生きている間に作品が売れていたピカソの生活と制作の基盤は、常に女性にありました
世界中の人々に注目され、常にある妻と恋人の存在、そしてそれに沢山の子孫に囲まれた生涯
方や、死後に作品が売れた貧乏で孤独だったであろうゴッホの生涯
それを思うと、人生とはつくづく不公平なものだと思いました
また恋人であったドラも気になりました
ピカソの周りの女性に対する嫉妬心で泣きじゃくるドラ
ドラの弱さを知った時、同じ女性として辛いものがありました
そんなドラの姿を描いた『泣く女』を本で見た時、苦悩や苦痛による激しいものだと表現されている涙に、少しだけピカソの絵の良さがわかる様な気がしました
そしてマイテの正体を知った時、ジーンと来るものがありました
『楽園のカンヴァス』は読後感の良い作品でしたが、『暗幕のゲルニカ』は小説家として何が出来るか、戦争に対するマハさんのメッセージ性の強い作品だと思いました
二作とも大傑作だと思いますが、テーマが違うので比べるものではないなと、思いました
先日、マハさんの『〈あの絵〉のまえで』にも出てくる箱根のポーラ美術館に行って来ました
自然の樹木に囲まれた、森の中にある落ち着いた美術館で、気に入りました
すっかりいい意味で、休日の過ごし方まで影響されている私です(*'▽'*)
- 感想投稿日 : 2023年10月15日
- 読了日 : 2023年10月15日
- 本棚登録日 : 2023年9月2日
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