海のある奈良に死す (角川文庫 あ 26-2)

著者 :
  • KADOKAWA (1998年5月21日発売)
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東京に出来立ての最新作を受け取りに(その他の古本屋巡りがメインではあるが)東京の珀友社で担当編集者の片桐氏が見本を持ってくる間の待ち時間に同業者の赤星楽がアリスの元へと顔を出した。彼は今から次回作の取材旅行へと向かうことを告げる。「『海のある奈良』へ行ってくる」そう言った彼は次の日、若狭の海岸で波に洗われているところを海上保安庁の調査船に発見される。人魚のモチーフを使った作品になる作品を書くといって言っていた彼は若狭の八尾比丘尼伝説を下敷にしたものを書くつもりだったのか、と思われたが、その若狭で赤星氏の足取りはたった一枚のテレホンカード以外見つからなかった。旧知の仲とは言えないが、知らない仲ではなかった彼の死を、アリスは独自に捜査することを決意する。その協力者として火村を頼った彼は、若狭、奈良、東京と動き回りながら事件の真相へと近付いていく。

今回のベストワンなアリスと火村のやり取りは
「うん、さすがは『日本のシェイクスピア』や」
「それは近松門左衛門だろうが」
しまった。うっかりしていた。
「しっかりしろよ、『浪花のエラリー・クイーン』」
詳しい。そんなからかいの言葉に、しばし耐えるしかなかった。  P170より

職場で一人にやにやしながら読んだ部分でした。
有栖川さんのミステリは地道で、地味ともおもえるものだけれど、そこがいい。ついに『鍵のかかった男』を単行本で買ってしまった。
それにしても、34の男二人でせーの、は可愛すぎる(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2016年3月18日
読了日 : 2016年3月18日
本棚登録日 : 2016年3月3日

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