ある生涯を追った話。
お兄さんもだが小父さんも、ある種社会的に適合が難しい人である。誰か(鳥小屋、司書、鈴虫派の老人等)に繋がりを求め、その2人だけの閉鎖的だが優しい世界を築こうとする。そして、必ずその2者の関係性のなかには、繰り返しの動作が日々行われ、そのことが小父さんを安心させる。
しかし、小父さん自身は変わらなくとも、周りの様子は変わってゆき、彼らとの関係もいつしかすべて失ってしまう。そんな小父さんに最後残ったのは、兄が残したポーポー語と、メジロだった。
小父さんはメジロの世話を通じて、兄のポーポー語を操れるようになり、兄の世界を感じるようになる。また、あれほど繰り返しの日々を続けてきたにも関わらず、メジロの世話に一生懸命になり、奔走する。メジロの恩人となり生涯を終える。
小父さんは決して社交的ではないが、閉鎖的な安心できる世界を求めた。最後には、唯一、兄とメジロが小父さんの世界に残り続け、安心できる世界となった。
言葉がとても綺麗で、文章にうっとりする。なんとはなく切なく、物悲しい。情景がうかぶ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年7月3日
- 読了日 : 2020年7月3日
- 本棚登録日 : 2020年7月3日
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