音楽は自由にする

著者 :
  • 新潮社 (2009年2月26日発売)
3.88
  • (52)
  • (67)
  • (54)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 676
感想 : 76
4

坂本龍一の曲については、『戦場のメリークリスマス』と『ラストエンペラー』の曲、大ヒットした『Energy Flow』くらいしか知らないけど、戦メリなどは大好きなので、こんな音楽を作る人がどういう育ち方をしたのかってことにもともと興味はあった。
でその後、坂本龍一がアップルストアで公演をしたのをネットの記事で読んで、とんがった人だなーと思った覚えもあって、この本は絶対に読んでみたかったのだ。読んでみると、実際おもしろかった。
特に少年時代〜YMO結成くらいまで。ピアノのレッスンや初めての作曲、バッハやベートーベンの勉強、ドビュッシーの生まれかわりと信じ込んだこと、作曲の勉強、ビートルズやローリングストーンズとの出会い、ジャズ、前衛音楽、現代音楽、実験音楽、フォークミュージック、ポップス、学生運動、ストライキ、民族音楽、映画、芸術、美術、演劇・・・などなど。すごく文化的に豊かに成長した人だということがこれらキーワードからも伺える。中でも私が衝撃を受けたのは、武満徹の演奏会で抗議のビラを撒いたという逸話。武満徹といえば、当時からも有名で高名な作曲家であったはずなのに・・・なんて向こう見ずな若者なんだと思った。でもそういうところが面白い。そういえば、村上龍の自伝で、彼も高校生の頃に佐世保で学生運動をしたり、かなりハチャメチャな青春時代をすごしたことが書かれていたが、ちょっとそれに重なるところがあるなぁと思った。ゆとり教育の今では考えられないような時代だなぁと思いつつも、何かしら主義主張があったり、社会全体でアツいムーブメントがあったこの時代がうらやましいような気持ちになった。この時代に生まれてる人って、個性的で面白い人が多いんじゃないかというのは気のせいか?とにかく、幼少期から色んな文化に触れて、土台を作るというか、素養を作ることは重要そうだと感じた。さらにまたその成長過程でより異質の文化を吸収していく・・・。とにかくのびのびと育つということが大事なのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2009年9月1日
読了日 : 2009年9月1日
本棚登録日 : 2009年9月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする