面白い本は一気に読んでしまう。つまらない本は速読モードで読み飛ばす。手強い本は頑張って読む。
本というのはそのどれかだと思っていたが、この本はそのどれでもなかった。面白く、1ヶ月近くかけてゆっくり読んだ。ひさしぶりの体験。
ビーグル号の航海は、5年かけて世界の辺境をめぐる文字通りの冒険旅行であると同時に、新鋭の青年博物学者ダーウィンにとっては科学のフロントラインをめぐる冒険旅行でもあった。残念ながらぼくらはどちらももう体験できない。5年かけて世界をめぐることはできるだろうけど、それはあえてそういう方法を選ぶ、という選択肢の問題にすぎないし、科学のフロンティアはダーウィンの時代に比べればずっと細分化され、見るもの聞くものすべてが未知、というわけにはいかない。なんと贅沢なダーウィンの大冒険。血湧き肉踊る。
その一方で、ダーウィンの上から目線が気になる気になる。当時のイギリス人としては当然だったのだろうけれど、現地人を野蛮人呼ばわりし、西洋流の常識と正義を押し付ける。奴隷制に反対していたダーウィンですらこうだったのだから、世界中で迷惑してたんだろうな。ビーグル号が当時の日本に立ち寄っていたらどう書かれたか、読みたいような読みたくないような。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
自然・科学
- 感想投稿日 : 2013年7月11日
- 読了日 : 2013年5月14日
- 本棚登録日 : 2013年5月14日
みんなの感想をみる