新装版 「レ・ミゼラブル」百六景 (文春文庫) (文春文庫 か 15-7)

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年11月9日発売)
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感想 : 66
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 レ・ミゼラブルの原作をちゃんと読んだことがない、と言い切るのは少し恥ずかしいなあと思っていた。世界的に名高い名作であるし、ミュージカルも映画も実は大好きだ。ミュージカルの中のナンバーは何曲もそらで歌えるし、映画に至ってはわざわざビデオをレンタルして現在入手できる版は全て見たのである。
 でも実はあらすじはWikipediaでざっとおさらいしただけで、一応ストーリーは分かっているけどジャベールの粘着とかちょっとよくわかんないと思っていた。
 というわけで、何かの拍子にこの本の紹介を見かけたとき、著者御自らが「ほとんど読まれることがない」と言い切っているのを見て、なーんだ、やっぱりそうよね、とまず安心した。そして豊富な挿絵とともに筋を追って解説していくという本書のつくりを知り、これなら読めるかも、でも買うのは危険、ということで図書館で借りて読むことにした。
 結論から言うと、大変オススメの良書でした。特に、映画やミュージカルでレ・ミゼラブルには触れたけど、実はストーリーがちょっとあやふやという方に、めちゃめちゃおすすめです。
 おすすめポイントは以下の3つ。
(1) 各見開きページの右側が文章、左側が挿絵という構成になっていて、各場面の様子を容易に把握することができる。
(2) ストーリー構成に沿って短いエピソードが並んでおり、1エピソードが4ページ(稀に6ページのものあり)から成っている。つまり文章が2ページ分、挿絵が2枚だが、映画でいうと1シーンくらいにあたり、ストーリーを無理なく追っていける。
(3) 文章の内容は、ストーリーが半分、解説が半分の場合が多い。場面によっては全て解説の場合もあり、時代背景や当時の風俗など、知っていないと話を理解しにくいものも過不足なく解説されている。
 どうです、読みたくなるでしょう。そして最も大事なことかもしれないが、文章が素晴らしく読みやすい。格調高いが難解でなく論理的でリズムが良い。我ながら絶賛だ。
 ちなみに私はこの本を図書館に返すと同時に、新品を購入しました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年6月7日
読了日 : 2021年6月6日
本棚登録日 : 2021年6月6日

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