新装版 夕陽ヵ丘三号館 (文春文庫) (文春文庫 あ 3-6)

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年2月10日発売)
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本棚登録 : 161
感想 : 28

1971年出版との事、舞台は戦後の高度成長期。
小さな話にどんどん尾鰭が付いて大げさに伝わっていく様は小説だからではない。本当にそうなるのだ。私も団地暮らしだったのでわかるがご近所って本当に怖い。
序盤は面倒な奥様方の人間関係の渦に放り込まれた音子に同情するものの、話が進むにつれて彼女自身も“面倒な奥様”と化していく様子に少々うんざりしながら読んだ。同性目線で見てもこんな奥様、夫子供はたまったものじゃないぞ。
だが主婦にとっては『夫が総てで子供が総て』。という音子の言い分に独身の私も妙に頷いてしまった。著者はなんでもない日常を面白く書くと母が言っていたが、579頁丸ごと なんてことない一人の主婦の数年間の社宅暮らしの日常である。ラストは爽やかに終わるがこの人たちのことだもの、またひと悶着あるに違いない。
ところでら抜き言葉はこの時代から浸透しだしたんだな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 20代後半
感想投稿日 : 2023年1月24日
読了日 : -
本棚登録日 : 2023年1月24日

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