この本を贈られたのは中学生の時だった。当時最後まで読んだんだっけ。途中でやめたんだっけ。
本書は小中学生も対象読者らしいが、革命の場面などは政治的な話も絡んできて当時の歴史がある程度わからないと少々難しい気がした。しかしながら、登場人物の心理描写や背景、その場の情景が大変丁寧に書かれており感情移入しやすい。
ジャベールに追われ修道院に逃込む場面、顎下まで汚水に浸かりながら下水道を進む場面の緊迫感はこちらもハラハラした。あらゆる葛藤、愛の形が書かれた物語。ページ数も多く読み応え十分。一度読んで損はない素晴らしい作品。 ただ実は個人的にはもう少し若い日に読むべきだったと後悔している。
年齢を重ねて経験を積んだせいか、どうも素直に読むことができなかった節があるのだ。 ジャンヴァルジャンにはもう少し狡くなってほしいし、ガブローシュにはその辺で一旦引き上げなさいと言いたいし、ファンティーヌにはなぜその状態で子供を作ったの、なぜテナルディエなんかに預けたの。などと差し出がましいのは承知でうっかりお説教してしまいたくなるのだ。このような感想は大変野暮であり、そもそも私のお説教通りに登場人物が動いてしまうと物語は成立しないのだが。
もう少し年齢を重ねてから再び読むと、また違った想いになるかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
中学生時代
- 感想投稿日 : 2023年1月24日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2023年1月24日
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