ラストシーンで思い出したのはジョジョの一部のラスト、あのシーンも棺桶で生かされるというメタファーがとても印象に残っていたのですが、この白鯨もそのような暗喩がありました。
しかもその棺桶は主人公の親友のクイークェグのもの。
分厚い三冊の上中下の冒険の物語は、終盤突然白鯨とぶつかり、あっさりと終わってしまいました。
粗削りな男が書いた男の物語なんだけど、どこかねちっこい感じが離れないなあ、と思っていたのですが、解説でイギリスではエピローグがない白鯨が発売されたと書いてあり、あの二ページのエピローグがなかった場合の事を考えた。
エイハブの怨念、鯨学、不吉な予兆、水夫たちのやりとり、重みを感じる長いページの末に船が沈没したところで終えるのも男らしくていいのかもしれない。滲み出る女々しさを払しょくしてくれる潔さがあるように思える。
三冊読み終えて、あの鯨の雑学やページ数を考えると、とてもすらすらと読めたように思えます。
偏に目標がしっかりと定まっていたからだと思います。
エイハブの怨念、そして白鯨への憎悪。これがこの物語の全てと言ってもいいと思うくらい。
エピローグ。棺桶で漂流したイシュメールはレイチェル号の息子への女々しい希望によって助けられた。
男らしい物語だと今まで思っていたのですが、実際は違うのかなと読み終えて感じました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
岩波文庫
- 感想投稿日 : 2013年9月21日
- 読了日 : 2013年9月21日
- 本棚登録日 : 2013年9月21日
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