【夏と花火と私の死体】
─かごめ かごめ かごの中の鳥は いついつ出やる…(略)…うしろのしょうめん だあれー
わらべ歌で始まる。ミステリー作家が歌い出すと不吉な予感しかしない。
─9歳で夏だった。わたしは死んだー
なぜ死んだのか、その後死体はどうしたかを「わたし」が淡々と語るので怖さはない。
怖いのは死体を運び隠す友だち兄妹たち。ほくそ笑んでこの状況を楽しんでいる。死体は隠しとおせるのか……?
「わたし」が“最後に見た花火”の光と夜の闇の描写が、人生の終わりとして美しくも悲しげで印象深かった。
“かごめかごめ”の遊びは何人いたら楽しいんだっけ?と考えると、まだ人数が足りない。更なる悪事が起こりそうな嫌な予感がした。
2023.5/1追記
この話にバックミュージックをかけるなら、ドリカムの「♪あの夏の花火」がぴったりだと思う。
【優子】
─清音は鳥越家に住み込みで働く。家の主人政義の部屋に入ってはいけない。妻の優子が休んでいるから。しかし清音は優子をまだ見たことがない─
庭に生る綺麗な黒い実は悪魔の実。これを口にすると意識混濁症状が現れるという。
鳥越家に関わった人物すべてが狂っている。
しかし政義はいったい何者なのか疑問を残した。
彼も意識混濁で狂っているのか、病気なのか、それともほくそ笑む異質者なのか…。
読後はブク友土瓶さんの「う〜ん。うん。そうか。うん」の☆3評価に同感であった。
しかし、特に〈優子〉は、想像すればするほど疑問がわき、色々と解釈できる面白さがキタ!
私は「う〜ん。うん…なぬ!?うん!?」の☆4評価。
- 感想投稿日 : 2022年10月1日
- 読了日 : 2022年10月1日
- 本棚登録日 : 2022年10月1日
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