サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社 (2018年4月20日発売)
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週刊誌で紹介されていたので、手に取りました。

後継者不足で困っている会社を300万円で買える?

確かに刺激的な言葉でしたが、300万円で購入した会社の具体的な成功事例が1つも書かれてはいません。

さらに、取締役社長=1000万円の最低報酬が前提のような書き方をしていますが、廃業しようとする会社が従業員の給与をきちんと支払い銀行からの借り入れや買掛金なども問題なく支払うことができるくらいの売り上げが立つ・・・果たして著者が好んで使う1000に3つとは言いませんが、どの位の会社がこんな好業績を維持しながら廃業を考えているのでしょうか?

確かに、黒字で中小企業の廃業は50%以上で、さらにその原因が後継者不足による廃業の比率は20%以上あるというデータはあるようです。(P136)

事業継承の問題の1位は将来の業績低迷(56%)、2位は後継者不足(22.5%)がおおどころで、とすれば、黒字廃業の後継者不足は廃業企業全体の10%程度ということになりますが、こんな簡単な数字が本書のどこにも書かれていないのは、意図的だとはいえ不誠実です。

この廃業市場は既に大手の企業が副業や社内ベンチャー的な観点から食指を伸ばしており、個人が優秀な中小企業を捜すのは至難の業、それが10%しかないパイの中から大企業(投資ファンド会社も含む)と一緒に探すのでは優良物件が残っている方がもはや奇跡という感じでしょう。

廃業理由の大半の業績低迷についてですが、そうした企業さえも筆者は大企業に勤めていたノウハウを駆使すれば立て直せるはず(P122)というさほど根拠のないアドバイスを送りますが、中小企業経営者をあまりにバカにした話だと思いましたが、現場をみている筆者なので、実際そんな状態なのでしょうか?

本書では、斜陽産業の代表格であった「畳店」が24時間体制にして大成功を収めた事例を出していますが、これはかなり希少な事例でしょうね。

まあ、ゼロからスタートする起業よりも、既に実績のある会社を安く買ってスタートするという発想は素晴らしいのですが、そんな美味しい話を目ざとい連中が放っておくはずはありませんよね。

でも一読はお勧めしておきます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年7月26日
読了日 : 2018年7月26日
本棚登録日 : 2018年7月26日

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