たとえる技術 (新潮文庫 せ 18-1)

著者 :
  • 新潮社 (2019年9月28日発売)
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感想 : 31
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「たとえ」を活用すると一瞬で世界が変わる。
比喩のなかでも「~のような」という直喩について、どうすれば使いこなせるか実例付きで解説する1冊。


比喩、中でも直喩について、活用方法や用例、例えることによって出来ることなどを考え、実例付きで突き詰めた本。
たとえによって情景が鮮やかになる事を、改めて実感します。
「赤」という言葉だけでも、「燃えるような赤」「カープファンで埋め尽くされた球場の赤」「返ってきた答案の赤」全部が違う。
この本のように様々なたとえが羅列されていると、雰囲気の違いがよく分かる。面白い体験でした。
読み終わったら、きっと何かたとえてみたくなるはず。

何となくお堅そうなタイトルに反し、一風変わったたとえがたくさん載っており、語り口も軽妙でさらさら読めます。時折差し込まれる作者さんのエピソードも面白い。
ですが、おもしろいだけではなくて意外と参考になる要素もあり、特に作文書いたりする機会が多い人、突然大喜利しなくてはいけなくなった人、急にIPPONグランプリに出ることになった人(?)なんかには、視点を変える方法がわかりやすく載っているので良いのではないかなと思います。

折角だから、私もいくつか例えてみようかな。得意分野から作るのが手軽と作中にあったので、読書以外の趣味である編み物からいくつかたとえを作ってみます。
・大作の編み図のように細かい。
・完成した後で発見した編み間違いのような悔しさ。
・どんどん増えていく毛糸の罪庫のように後ろめたい。
……なんてどうかな。

そういえば、毛糸とたとえで1つ編み物用語を思い出したのでついでにご紹介します。「製麺」っていう言葉なんですけど。
編んだものを解くことを、編み物好きの人の間で俗に製麺と言います。解いた毛糸がまるで「縮れ麺のようにちりちりになっている」のをたとえた言葉。
世の中、色々なたとえがあって面白いですよね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 研究
感想投稿日 : 2023年4月4日
読了日 : 2023年4月4日
本棚登録日 : 2023年4月4日

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