刑事事件弁護士として活躍する著者が、罪と罰の在り方を問う12編。
デビュー作『犯罪』、第二短編集『罪悪』に続く短編集3作目。翻訳者さんによるあとがきによると、作者さんは当初から三部作を構想していたそうです。
作中でどんな犯罪を描こうとも、書き方は常に淡々としていて心情描写も薄い。それなのに、何故か心がざらつく読後感。
犯罪と、罪と向かい合う仕事についている筆者さんにしか書けないものがある気がします。
解説でも似たようなことが書かれていますが、釣り合わない罪と罰、理想をもってなったはずの弁護士という仕事の理想と現実、現実のような虚構と虚構のような現実。そんなすべてをひっくるめた現実のやるせなさや心の傷を、文学として昇華し再構成しているような、そんな印象を受けます。
個人的に好きだった話は、『リュディア』。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
短編集
- 感想投稿日 : 2024年1月23日
- 読了日 : 2024年1月23日
- 本棚登録日 : 2024年1月23日
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