十九世紀の、ポーランドの小さな村・ジェキの役人として赴任してきたゲスラー。かつて詩人として名を博したクワルスキが領主として治めるその村で次々に起こる不審な死。村人たちの不安を取り除くためにゲスラーが提案する慣習は、ただの迷信なのかそれとも……? 陰鬱な雰囲気の小説です。
タイトルがあからさまにこれなので、ああそういうことなの、と思って読んだけれど。実はそうじゃないのかも。続く不審死といい怪しい影といい、いかに「いそう」な雰囲気はこれでもかというほどに漂っているのですが。この時代のこのような村では、これくらいの死は珍しいものではなかったのかもしれないし。因習や迷信に囚われていることもありがちな気がして。「吸血鬼」というのは一種のたとえでしかなく、だけど怪物である「吸血鬼」と同様に恐れられている存在でもあったのでしょうか。いや、むしろそれよりも切実に恐ろしいのかもしれません。
ホラーだと思い込んで読んだら期待外れですが。ホラー好きにもこの雰囲気はかなり好みでした。暗くてじめじめした印象だけれど、美しさも充分に感じられます。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2022年4月14日
- 読了日 : 2022年4月14日
- 本棚登録日 : 2022年4月14日
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