ウォッチャーズ 上 (文春文庫 ク 5-5)

  • 文藝春秋 (1993年6月1日発売)
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本棚登録 : 623
感想 : 74
5

これはすっごい名作! まさに感動もの。いい話だ……。
ただ、今までいくつか評を読んだんだけど、みんな「主人公たちのラブロマンス」だとか、「名犬アインシュタインの健気さ」をメインにしちゃってるのがちょっと気に食わない。そりゃたしかに主人公たちは好感持てるし、アインシュタインも健気で可愛い。それは認める。でも私が思うに、この作品で一番取り上げるべきなのは、「アウトサイダーの悲哀」。これしかないでしょ。異形の者の異形なゆえの悲しみがここまで描かれた作品って、数少ないと思う。本当に、アウトサイダー可哀想過ぎ。そして人間は身勝手。
実際今までの評だと、「ラストでは愛犬家必涙」(愛犬家じゃなくてもだと思うけど……)ってしてある。たしかに最後の、アインシュタイン絡みの箇所は泣ける。けどそれ以上に、アウトサイダーの境遇とその最期にすごく泣けたし、ここで一番泣くべきじゃないかと。
何はともあれ、これを「ホラー」ってジャンルだけにくくっちゃうのはあまりに惜しい。ジャンルなど限らずに、一読の価値はめちゃめちゃにある。
ところでこれ、何年か前にテレビで映画やってたの見た気がするけど……気のせいかな? だってまるっきり違う話だった気が。題名はたしか「ウォッチャーズ 第三生命体」って……やっぱり違うか(笑)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ホラー
感想投稿日 : 2010年1月31日
読了日 : 2010年1月31日
本棚登録日 : 2010年1月31日

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