著者の本は何冊か読んでいるのですが、従来の学説とは主張があまりに違い過ぎていつもついていけなくなります。
ですが今回、蘇我親派(改革派)と反蘇我派の争いだと据えた全体の見方は面白かったです。
そもそも、蘇我氏の権勢に対する反発と王権の強化を目的としたクーデターが乙巳の変で、その結果実現した制度改革が大化の改新、というのが世間の常識です。
それを、蘇我親政権である聖徳太子が、百済ではなく中国大陸に完成しつつあった律令制の導入を目論見、それは、王権の強化を真の目的にしたものではなく合議制による中央政府の強化であったことから、百済救済のため王権を強化したい鎌足(著者の主張だと彼は百済王の王子豊璋)が中大兄皇子と組み、結果入鹿は殺され、その後も暗殺や陰謀により反蘇我派が政権を奪還した、この一連の事件が真の大化の改新だというのです。
旧守派が王権強化派で、改革派は合議制による中央政府の強化だったことの理由も挙げられていて納得感があったし、それを鎌足が旧守派を利用して王権を強化し百済救済のために援軍を送り(白村江の戦い)惨敗し、すべてを正当化し、以後の藤原氏を盤石にするために鎌足の息子である不比等が日本書紀で真実を歪める記述を行ったこともあり得るなあーと。勝てば官軍。
個人的には不比等好きなので、今更だけどあんまり悪者扱いして欲しくないんだけど・・・やっぱり悪人、よねえ。。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2021年7月28日
- 読了日 : 2021年7月28日
- 本棚登録日 : 2021年7月28日
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