アンジェリーナ: 佐野元春と10の短編

著者 :
  • KADOKAWA (1993年4月1日発売)
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本棚登録 : 75
感想 : 10
4

これはなんとゆう本に巡り合ってしまったのか奇跡の1冊でした。
10代の頃推してた佐野元春と、最近のマイブームの読書で密かに敬愛している小川洋子がコラボしてる。
近頃は図書館に行く前に蔵書をネットで確認して棚の位置をメモして行きますがこれは閉架になっていた。つまり地下の書庫に大切に保管されている本で借りるには受付の人に申請するため会話する必要があるのだ。
普段なら高すぎるハードルでしたが通い慣れた図書館なのでなんの躊躇いもなくスマートに借りることができました。図書館レベル2に進化したと、レベルアップの効果音が脳内に響く。
表紙から目次にめくってみるとな・な・なんとぉおお!
元春の曲のタイトルがそのまま10の短編になってるぅう。
しかも歌詞がまんま載ってて。
私はすべてそらで歌えたりするのが誇らしかった。
これ、もしかして元春の曲からのインスピレーションで短編を描いたってことなのかっ流石は小川洋子、ぬしもファンだったのかあって身悶えしました。

「アンジェリーナ」君が忘れた靴
勿論ニューヨークから流れてきたバレリーナですけど、地下鉄のホームのベンチで彼女のトウシューズを拾った主人公。左のシューズの内側にアンジェリーナと刺繍されていて、落し主を探すために新聞に広告を載せる。「アンジェリーナ、君の靴を預かっています。連絡を乞う」とか。駅員に落とし物で届ければいいのに、うはぁなんともキザ、花輪くんが浮かんできた。
半袖のブラウスにフレアスカートで現れた彼女に紅茶を勧める花輪くん、(あっもうそんなイメージで観てましたっw)
ティーカップを掴む仕草さえ彼女の身体の線が研ぎ澄まされた完璧な美しさを放っていた。袖からのぞく細くて白い腕は弱々しさはなくハッキリと指の先まで意志のみなぎった線を描いて美味しそうに紅茶を飲んでいたとか。
流石の表現にあどけなさの中に眠る一流のバレリーナの所作をイメージさせる。
チビまる子ちゃんで言えば城ヶ崎さんのイメージでほぼ決定っw

「バルセロナの夜」光が導く物語
失業を機に図書館通いを始めた彼女、スペインの棚の前ですれ違いざまに肘があたった彼、そのスペースは誰にも気づかれずに図書館を見渡せる場所だった。
彼から猫のペーパーウエイトを手渡されて半年後にまた会う約束を交わす。11日目の夜に猫の青い目に導かれ突然小説を書き出す彼女。猫のペーパーウエイトを覗き込んでるうちに2ヶ月かけて書き上げたのが「バルセロナの夜」とゆう小説。それは、失語症だった図書館の女性司書がスペイン語の教師と恋に落ちた物語、彼女が言葉を増やしていくにつれ、彼の脳に発生した腫瘍は大きくなり、彼の死によって2人の恋は終わるという物語。
ペンネームで投稿した原稿がベストセラーになって、図書館にも納められる。
2人だけの秘密が書かれた本を読みながら涙する女性司書。
彼はどこかで生きているんだとつぶやく。
ううう、彼女は猫に憑依され自動書記してたのかあぁぁ

このままだとすべてネタバレしてしまうので自粛しますっw
てか、インスピレーション凄すぎて想像を超えてしまってる小川洋子さんのイメージは並な頭では思いつかない。
ここまで翔ぶとかさすがです。
月刊カドカワの企画で毎月1曲からイメージ受けて書いた10の短編をまとめた1冊。1993年だから30年まえの本。

出発間際のサンドイッチスタンド、彼女はデリケートなベジタリアン。
カシミヤのマフラーにイタリヤのシャツ着て夜を超えたあの頃。心の扉をノックするサウンドにいくつもの川を越えた。
辿り着くと見覚えのある川が横たわっている。
車のクラクションとか夜のサキソフォンとかあの頃は騒がしい夜を過ごしたなあっw、クレージー・プリティ・フランミンゴ、飼ってる人がいるなんて、チョコも食べるとか笑えました。
アンジェリーナで幕を開けた80年代はそうゆう時代だった。電話もスマホじゃないし、ウォークマンとか。
ふと懐かしく思ったり。元春どうしてるんだろう。カナリヤは歌っているだろうか?
ずいぶん暫くぶりに見た彼はシルバーヘアーのダンディな叔父さんになってたけどっw

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 図書館
感想投稿日 : 2023年5月5日
読了日 : 2023年5月5日
本棚登録日 : 2023年5月5日

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