老後破産: ―長寿という悪夢― (新潮文庫)

  • 新潮社 (2018年1月27日発売)
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感想 : 40
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押しとどめる事は難しい超高齢化社会。僕自体があと20年もすると高齢者の仲間入りなのですからそりゃそうだ。順送りで年齢を重ねて行くのだから当たり前の事であります。
年金を納めていればとりあえず暮らしていけるという安心が有った時代というのはいつの事だったのでしょうか。そもそも働き始めた頃には年金はいつか破綻するからあてにならないなんて事を片耳で聞いていた記憶があります。
この本は今この時、わずかな年金、または無年金の状態で辛うじて生存している老人たちのリアルな今を取材した本です。
一日一食しか食べられない、一日100円で生活しなければならない、介護サービスを十分に受けられず不自由な体で過酷か毎日を送っている。
取材班の人達も自分たちの手で助けてあげたかったんだろうと、文章からにじみ出ています。一生懸命生きて納税してきたのに地獄のような老後を送っている人々。これからもっと老人が増えて非正規で働いている人が山盛りいる中で、この本に取り上げられた人々は特殊な人ではなく、ありふれた老人の姿になっていくのだと思います。
これ読んだら、急に自分の足元に大きな穴が開いているような気分になりました。今はまだまだ若いし何をしても生きては行けると思うけれど、夫婦で高齢化して日々の生活を豊かに営めるほど潤沢な資金が有るわけではありません。
この本の人々も今の自分のような老後を送るなんて夢にも思っていなかった人々ばかりです。老後の生活が破綻してこの本で描かれる「老後破産」は誰の身にも起きる事です。
お金を使い果たし持家を売らないと生活保護を受けられないという事は、現実に即して無茶な人達が沢山います。そうは言っても最低限の貯蓄は必要だし、持ち家を処分するという事は家賃が今後発生する訳で余計な出費が増える事にもなります。この本の中に、どうしても思い出の家を売る事が出来ず困窮して、病院に行けず体の状態が悪化する人もいました。
他人事どころか自分の親の事が心配になりました。うちの親はまだ若いのですがあっという間に後期高齢者になってしまいますからね・・・。
僕は団塊ジュニアなのでこれから世の中に負担をかける世代であります。僕が後期高齢者になった時には世の中どうなっているのでしょうか。何とか家族を守っていきたいですがそれにはまず健康ですね。健康第一です。めざせピンピンコロリ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年12月23日
読了日 : 2019年12月20日
本棚登録日 : 2019年12月20日

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