鬼物語 (講談社BOX)

著者 :
  • 講談社 (2011年9月29日発売)
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3

第2シリーズ、ラストの一個前。
時系列的には、「傾物語」のつづきで、
「猫物語(白)」とは、表裏のような関係。
(白)で張られた伏線が、色々と回収されているが
(白)を読んだのが昔すぎて、記憶が、うろ覚え…
(3作空いてるし)。

目に付いたところ、覚えているところでは、
・忍とのペアリングが切れる(羽川が一人でいる忍を目撃)
・エピソードが、仕事のため日本に来る(羽川が会う)
・「しんぱいすれな」のメール(羽川、受け取る)
・何でも知ってる臥煙伊豆湖(何でもは知らない羽川と会話)
・扇が「何か」(「何か」って、何だっけ?という感じだが)
前巻で予告された、学習塾跡炎上事件(神原絡み?)については、
今回でも回収されず。
時系列的に、次に当たる「囮物語」とは、
この後の仕事で(?)、暦が臥煙から「お札」を受け取り、
その存在を扇が、千石に教えて、という流れ。

今回は、正体不明の「くらやみ」に追いかけられ、
それに、四〇〇年前にも会っている、という忍の回想から、
「くらやみ」の正体とは何なのか、という謎解きがメイン。

忍、八九寺に加え、珍しく斧乃木余接も出ずっぱりという、
幼女3人揃えの布陣。

印象としては「傾物語」のSFチックな感じが近いか。

70Pから170Pくらいまで、忍の過去の回想。
一人称にしてくれた方が読みやすかったと思うが、
今回は臥煙も同じスタイルで話す関係か、セリフスタイルに
なっている。
しかも、一人芝居風に、相手の台詞をカットして、
推測させる、という形なので、あまりスラスラと読めない。
とにかく、ここまでで、半分以上。
186Pで逃亡。
その後、道に迷って、221Pで、ようやく臥煙が登場、
話は一気に収束(種明かし)へ。
八九寺について、延々と話し、266Pまで
(この40Pが今回の解決編)
エピローグは273Pまで、いかにも怪しい扇と、
暦の会話。時系列は、「囮物語」の次に位置し、
千石の話も出てくる。

で、いよいよ最終巻(第2シリーズの)へ、という流れ。

鬼半分、八九寺半分(よりは少ないが)、バトルなし、と
あまり焦点が絞り切れていない感じの、小粒な印象の回。
しかし、「くらやみ」の正体を考えながら、山中を
3人でさまよったり、忍とペアリングが切れて、
普通人間バージョンに戻った暦とか、着地点の見えない
「冒険性」とヒキは、相変わらず読ませるし、面白い。

忍の一人目の眷族については、ずいぶんと引っ張っていたので
(「傷物語」から?)まあ、ラストを前にして、
一応、回収しておきます、という年末大掃除みたいな話。
これで、憂いなく、完結へ、ということで。

忍の回想を「時系列」としてとらえれば、
「傷物語」より、さらに遡った、本当のエピソード1とも言える。
ペアリングの切れた忍視点の話とか、臥煙に頼まれた
仕事(エピソードと共闘し、神原も参加)とか、
相変わらず話の取りこぼしは多く、いくらでも続けられそうな雰囲気ではある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2013年3月2日
読了日 : 2013年3月2日
本棚登録日 : 2013年3月2日

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