抜群だった。正直『シン・ニホン』よりも、いま読まれるべきはこちらではないかと思う。机上の仮説ではなく実戦の中で得た洞察なので、迫力が違う。
トレーダブルなグローバル経済の世界の極北にはPh.D.持ちCEOたちの世界観があり、熾烈な資本獲得競争が続く。なんちゃってガバナンスの「日本基準では一流企業」の文句を聞いている暇はなく、グローバル基準のオリンピック選手育成環境を整備する必要がある。
アントレーダブルなローカル経済の世界においては、規模の経済は幻想であり、元々PLさえ安定させられればディフェンスは強い。それに加えて労働人口不足という環境変化が重なり、ROEよりも労働生産性、資本市場よりも労働市場によるガバナンスがゲームのルールとなっている。この世界における本当の課題は、新しい企業を生むことよりも弱い企業・集落を整理・集約することにある。
注意すべきは、良くも悪くも現場視点であるからこそ、時間軸を飛ばした大胆な構想にはなっていないこと。20年30年先を考えると、地方の高齢者まで漏れなくAmazonやUberを使いこなし、GがLを侵食していくシナリオもありえるのではないかと思う。
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- 感想投稿日 : 2021年2月25日
- 読了日 : 2021年2月25日
- 本棚登録日 : 2021年2月22日
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