こちらも小宮山氏が東大総長だった頃に書いた本。日本は、先進国家ならではの課題(古くは公害など、現在では少子高齢化など)に、他の国に先駆けて直面してきた国なので、日本が先にソリューションを開発することで、後進国にソリューションを売り込むことができる、というビジョンを掲げている。ビジョンそのものには反論が思いつかないんだけど、出版から5年たって何かが一気に進んだかというと、そういう話はほとんど聞かない気がする。それどころか、むしろ後進国の方が、先進国よりも早く先端のITインフラをどんどん取り入れているようにも見えるし…。レガシーインフラを持たない後進国の方が、新しいインフラを一気に普及させるのに都合がいいのは確か。すでにレガシーインフラが網の目のように張り巡らされている先進国は、新しいインフラの導入に際して、関係者間の利害調整のコストが大きすぎるのが問題だということまでは、みな認識しているハズだけど、「問題を認識すれば、問題は解決する」ほど世の中は単純ではない。
それに、このビジョンの通りに進んでしまうと、子供の頃から格下だと思ってきた後進国が、そのうち日本よりも繁栄することになりかねず、頭では納得できたとしても、感情的には絶対に許しがたい。だから、私としては、とにかく傍観に徹することにしましょうかね。(まあ、どちらにしても、日本の衰退は確定的な未来だし…)
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ビジネス・実用
- 感想投稿日 : 2013年7月28日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2013年7月27日
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