終わり方まで須く好みだった 文章自体もさらりと重すぎず植物のようだ 女子校時代に抱いた感覚を呼び起こさせる 小旻の最後のエピソードが胸に刺さる 彼女が殆どのキャンディをかつての同士たちに渡す気持ちが痛いほどわかる なぜならセクシャリティの変化は以前のコミュニティに属せなくなる可能性を秘めているからだ 特にレズビアンであるというセクシャリティで強く繋がった絆の中では
キャラクターが濃い作品ではない 皆密やかに生きている 木のテーブルの丸い跡をありありと想像できる 木蓮の香りや窓を開けた際の風にそよぐその葉のさまも ジワジワと心に沁みる作品だった
この小説が書かれた時には台湾ではまだ同性婚が許されていなかった 今はもう特注でなくてもウェディングケーキに飾るボイタチの新婦の人形は手に入るのだろうか これを読んで同性婚が家族の在り方の根本に関わるなんて言えないはずだ だって彼らはずっといるのだから
また翻訳者である李琴峰氏の解説も非常に興味深い 台湾のレズビアン文学と日本のものとの対比とある種の批判が書かれている 社会へのコミットの仕方の違いだ これはレズビアン文学に限らず現在も日本という国が共通に持つ課題であろう 権利を勝ち取った国と与えられた国の対比なのかもしれない
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- 感想投稿日 : 2023年8月16日
- 読了日 : 2023年8月16日
- 本棚登録日 : 2023年8月16日
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