リスタデール卿の謎 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 56)

  • 早川書房 (2003年12月15日発売)
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本棚登録 : 280
感想 : 30
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リスタデールという名前の響きが好きだが、話がうますぎてちょっと気持ち悪い、と思いながら次の「ナイチンゲール荘」を読むと迫力のある結婚詐欺の話で、一作目もあのままじゃ済まないよねという不安を引き起こさせる配置の妙を感じた。「ナイチンゲール荘」はサスペンスの典型的な題材ながらスピードと緊迫感がすばらしい。ただし結末はもっと普通でよかったのではと思う。「事故」が突出して後味の悪いシリアスな作品でこの中では異色作と言える。最後の「白鳥の歌」というタイトルとトスカへのこだわり、イタリア人歌手の話が出たところで結末が読めたけれど短編集の締めにはふさわしい。他は割と締まりのない似たような話が続くが「エドワード・ロビンソンは男なのだ」はなかなか楽しかった。犯罪と無縁の男の子がハードボイルドに振る舞おうとするレイモンド・チャンドラー唯一のコミカルな作品「真珠は困りもの」を思い出した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月27日
読了日 : 2022年3月5日
本棚登録日 : 2022年3月5日

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