アステカとインカ 黄金帝国の滅亡 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (2020年11月12日発売)
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感想 : 7
5

スペイン人によるアステカ・インカへの進出に関する歴史を解説した本。
残された様々な記述をもとに時系列で何が起きていたかを解説しており「こう記されているが本当はこうだったのではないか」と、研究に基づく説が記されているのも分かりやすく良かった。実際のところ、スペイン人側が記述した書物は勝者の歴史であり、王室に対して支配の正当性を説くという側面もあっだろうから、すべての情報が正しいわけではないのだろう。
この本の内容からは外れるが、モクテスマ(モテクソマ)が優柔不断な王でコルテスに丸め込まれたというのも、最新の研究だとモクテスマ1人のせいではなく、当時の社会的状況から必要な行動をとったということが分かってきたとのこと。
壮絶な争いが繰り返され、多くの死者を出してきた歴史であり、著者も後書きで記していたとおり、今日の人種差別などの問題にも直結していることを考えるとコンキスタドーレスのやってきたことは重い。
スペイン人があまりにも金を要求するので、現地民からは「スペイン人は金を食べるに違いない」と思われた…というのが印象的だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年7月15日
読了日 : 2023年7月15日
本棚登録日 : 2023年5月18日

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