魔女と過ごした七日間

著者 :
  • KADOKAWA (2023年3月17日発売)
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本棚登録 : 7240
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AIと人間の力、魔女から見えた我々の未来は… ラプラスの魔女シリーズ第三弾 #魔女と過ごした七日間

■きっと読みたくなるレビュー
本作のテーマは明確にAIですね。もはや日本一のミステリー作家にも関わらず、意欲的に最新の話題を取り込んでくる。AIと魔女の力をうまく融合させながら物語に組み込み、しかもエンタメ感抜群な長編に仕上げてくる。まぁ間違いない面白さです。

東野先生の強みであるストーリーテリングが存分に発揮され、これまでラプラスの魔女シリーズを読んできた人は必読です。ただ本作はあくまで魔女は脇役、詳しく背景は語られませんので、未読の方はシリーズ一作目から読むことをおすすめします。

本作の読みどころは、AI社会と付き合いを深めていく人間たちの問題性。技術の進歩を合理的に利用しつつも、無秩序に使われかねない危険性を描いています。もちろんフィクションですが、すでに実現化されているようで怖いよね。

今回の主人公は男子高校生なんですが、これが上手に書けてるのよ。まだ少年の彼が大人の世界に踏み込む冒険小説にもなっていて、展開に目が離せなくなる。友人とのやり取りも純粋で可愛く、思わず応援しちゃいたくなるんですよね。

また警察内部の人間関係、微妙な駆け引きも丁寧に描けてるんです。しっかり物語を楽しく読ませていく進行はプロの技で、本当にストレスがない。どのキャラクターも魅力たっぷりなんで、ぜひ映画化されてほしい。

そして円華の冷静さと優しさ、意思の強さ、正義感は健在。相変わらずカッコイイ!今回は高校生たちが大活躍ですが、勝手な想いとしては、できれば円華自身が成長していくような物語も読みたいな~。次回作も期待しております!

■きっと共感できる書評
本作では様々なシーンでAI技術の描写がされており、考えられる近未来の世界。AIと人間の力、魔女からは未来はどう見えているでしょう。

めざましい科学技術の進歩と、それに振り回される我々人間。家族を失い一人になっても、立ち向かっていった本作の主人公のように、我々も個々ひとりひとりが問題に対して考え、行動をしていかねばなりません。

昨今の文章生成AI、すごく便利で利用もさせてもらってますが、所詮はありものから高速処理しているだけとも言える。0から1を生み出す人間の可能性を信じ続け、これからも私なりに本のレビューを書き続けたいと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2023年8月4日
読了日 : 2023年8月2日
本棚登録日 : 2023年8月2日

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