鬼★5 若き二人の犯罪を通して、現代の薄暗い社会問題が浮き彫りになる… 社会派犯罪小説 #半暮刻
■あらすじ
子どものころから恵まれなかった翔太と有名大学に通う海斗は、会員制のバーで働いていた。そこは利益追求のため、女性を風俗に陥れるマニュアルが用意されている残忍で狡猾な店であった。
彼ら二人は自らの研鑽と利益のため、次々と女性たちを罠にかける。しかしついに警察の手入れが入り、翔太だけ逮捕されることになったのだが… 果たして彼らはどんな人生を歩んでゆくのか。
■きっと読みたくなるレビュー
鬼★5 いま読むべき犯罪小説。まさに現代の社会問題を切り取った作品です。
本書に書かれている物語はあくまでフィクション、でも本当にありそうな社会の闇がそこにある。というか、現実に同じような事件がありましたよね。被害にあわれた皆さんには、お祈りを申し上げたい。
犠牲者になった人々へは残念な気持ちしかないんですが、なぜか加害者に対しても同じ気持ちになるんです。読めば読むほど本当に悪い奴は誰もいないような気がしてきて、ただやるせなくなりました。
経済や環境に恵まれなかった者たちと、一度社会からはみ出したものへの扱い。そして上級国民や大企業との格差があまりにも酷すぎる…
会員制バーの現実も酷すぎる。
よくある話なのかもしれませんが、詳細まで知るとクラクラしてくる。組織も人も環境も全てに反吐がでますね。シンプルに女性を傷つけるのはよくない!
大企業の現実も酷すぎる。
私も聞きかじったこともあり、きっと中らずと雖も遠からずなんでしょう。ただ本書後半で語られる内容はとてもじゃないけど受け入れない。利益追求、成功だけの理屈から、どれほど人を傷つければ気が済むのか。
酷い酷いと書き過ぎのレビューになりましたが、これが現代のリアルなんだと受け止めるしかない。刮目して読ませていただきました。
■ぜっさん推しポイント
ここに書かれていることは決して他人ごとではない。ネットに情報を書いてる私もその可能性があるし、読んでいるあなたもその可能性がある。
中途半端な正義感や聞きかじった合理性を妄信し、好き勝手に主張する。なんの利害関係もなく、しかも安全な場所からしか発言しない。そして「損」「失敗」「不道徳」という言葉には圧倒的に拒絶する。不景気という現代の日本において、こんな価値観を持った社会がいきつく先は、どうなってしまうんでしょう。
しかし大切な人と出会い、様々な仕事や情報に出会えれば人々は成長していける。薄暗い未来でなく、明るい未来になって欲しいですね。
- 感想投稿日 : 2024年1月31日
- 読了日 : 2024年1月31日
- 本棚登録日 : 2024年1月31日
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