日本沈没 第二部

  • 小学館 (2006年7月7日発売)
3.46
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本棚登録 : 209
感想 : 31

いやぁ何と言うか非常に下手.前半で世界設定に大量に紙幅を費やした割には説明不足で,これは文章に無駄が多く,また,当然書かれて然るべきことが書かれていないことに他ならない.

例えば30年前に国土を失った国民が,70年代の技術水準を保持しているばかりか発展さえさせていたり,領土がないのに日本政府が健在だったりするあたり,どういう状況なのかと思うが,そのあたりは全く触れないため少しも説得力が出て来ず,御都合主義にしか見えない.

エピソードの書き込み密度にもムラが多い.例えばカザフスタンの難民キャンプのエピソードは,谷 甲州が自分の体験を生かそうとして頑張りすぎたか書き過ぎだし,一方,後半の日本列島の沈没による地球環境の激変あたりは書き込まれていないというより殆どスカスカのスケルトンである.つまりはこれメリハリがあるのではなくムラである.さらに酷いのはエピローグで,陳腐を通り越して失笑するしかない.ヤレヤレ.

「なら読むな」と言われそうな気もするが,「日本沈没」をリアルタイムで読んでいた自分からすると,やはり読まずには居れないのだった.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 1999年12月31日
読了日 : -
本棚登録日 : 1999年12月31日

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