前作『悪童日記』の「僕ら」の1人であるリュカの視点で綴られる物語。前作は演劇のように短い章立てが乱立し、目まぐるしいテンポで描かれていた。登場人物達も司祭や靴屋など、役割だけで呼ばれ個人名というものは登場しなかった。
今作では一転して、一般的な小説の様式で、よくあるように登場人物達は名を持っている。
主人公であるリュカも、悪童日記のような超越性は若干落ち着き、一般的な世の苦悩に絡め取られ始めている様子が見える。
視点の持ち主が「僕ら」から「リュカ」になった結果、世界は俗な見え方となり、それはリュカがまた成長とともに同様になっているのを表している。
そして物語は、この二作の持つ空想性の秘密を明かす事実を提示して終わる。
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- 感想投稿日 : 2022年9月7日
- 読了日 : 2022年8月31日
- 本棚登録日 : 2022年9月7日
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