国力とは何か―経済ナショナリズムの理論と政策 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2011年7月15日発売)
3.93
  • (33)
  • (43)
  • (26)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 462
感想 : 45
2

グローバル化で、日本はデフレになった。アメリカは民営化されたケインズ主義によって、民間の債務が積みあがってデフレにならなかった。

人間は将来の予測を正確にはできないので、将来の結果を期待するに過ぎない。結局資本主義は人間の期待に依存しているにすぎない。国際的な資本の移動性が高いと、金融危機が頻繁に起きる。

民主主義国家のほうが、もっとも強力な国家。
ルイ14世の絶対王政は、教会や都市ギルドの特権を修正する権力がなかった。民主主義は、法律で規制できる。

勤勉の動機は利益の追求、ではなく、勤勉が利益追求の動機である。

国民の意志は政党や議会の議論というフィルターでろ過される必要がある。その結果民衆のナショナリズムが穏健化する。議会、政党、行政組織、政治団体、市民社会など中間組織が存在しないと、民衆の意のままに先鋭化する。それが全体主義。
戦後のルワンダやブルンジがナショナリズムが先鋭化したいい例。自由民主主義の制度さえ設ければ自由で民主化された社会ができるというのは、甘い見通しだった。

経済自由主義は、社会防衛的運動の結果、全体主義の原因になる。戦後は、国際経済の自由化にはGATTなどの国家間の協議のおかげで、各国が先鋭化しないで済んだ。

エマニエルドット=自由貿易は民主主義を破壊する。

ラーナーの機能的財政=内国債は、国民の負担とはならない。
国家資本主義=国家がプレイヤーとして市場を支配するシステム=アメリカの姿。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教養
感想投稿日 : 2019年10月14日
読了日 : 2019年10月14日
本棚登録日 : 2019年10月14日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする