レンブラントをとり返せ -ロンドン警視庁美術骨董捜査班- (新潮文庫)

  • 新潮社 (2020年11月30日発売)
3.49
  • (15)
  • (47)
  • (49)
  • (10)
  • (3)
本棚登録 : 490
感想 : 35
3

タイトルから想定されるような、いわゆるアート・ミステリ(例えば、ダン・ブラウン氏の“ラングドン教授シリーズ”みたいな)かと思って手に取った本書。いざ読んでみると、思っていたのと結構違っていました。

新米刑事・ウィリアムが押収されたレンブラントの絵画を贋作と見破った事をきっかけに、“ロンドン警視庁美術骨董捜査班”のメンバーとなり、大物美術窃盗犯を追っていく話ではあるのですが、通常ならこの絵画窃盗追及の話を軸に展開していくパターンが多いかと思うのですが、本書ではウィリアムが抱える事件が何件もあり、それらが同時進行していくという展開なので、読んでいて“ん?これは何の案件?”と、ちょいと混乱してしまいました。
とはいえ、これはこれで面白くて、特に終盤のウィリアムの恋人の父親の冤罪事件と絵画窃盗事件の二つの裁判が並行して描かれる場面は臨場感あふれてスリリングでした。
あと、英国特有のブリティッシュ・ジョークや、持って回った言い方のトークの応酬も個人的には楽しませて頂きました。
因みに、著者の方の前書きによると、本書の主人公ウィリアム・ウォーウィックは同著者の『クリフトン年代記』シリーズに出てくる小説(作中作?)の主人公でもあり、本書は新たにウィリアムをメインとした新シリーズの第一作とのことです(ややこしい・・汗)。
なので、ミステリというより、ウィリアムの成長物語といった感があります。
続編は既に出ているようですので、こちらも読んでみたいですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2022年読了分
感想投稿日 : 2022年6月4日
読了日 : 2022年6月4日
本棚登録日 : 2022年6月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする