サロメ

著者 :
  • 文藝春秋 (2017年1月16日発売)
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本棚登録 : 2011
感想 : 246
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“「楽園のカンヴァス」「暗幕のゲルニカ」に続く野心的傑作長編”という帯と、オーブリー・ビアズリーの蠱惑的な表紙絵に惹きつけられて、手に取った本書。

内容は、タイトル通りオスカー・ワイルドの問題作「サロメ」をめぐる物語です。
スキャンダラスな危険要素を持つ作家オスカー・ワイルドと才能あふれる若き画家オーブリー・ビアズリー。二人の運命的な出会いあったからこそ、“聖人の首”という、聖書の中のタブーエピソードを戯曲にした「サロメ」という作品がセンセーショナルを巻き起こしたといえます。
たとえそれが、関わった者の運命を狂わせようとも・・。
話は、オーブリーの姉・メイベルの視点で展開しますが、メイベル自身もオスカーとオーブリー、そしてオスカーの恋人・アルフレッド・ダグラス(男)との愛憎劇に絡んできて、もう正直ドロドロなのですが、全然下品ではないところが流石です。
ただただ、破滅的な展開に惹きつけられて、どんどんページを繰ってしまいます。
それにしても、原田さんは、情景描写も心理描写も手に取るように伝わってきて、“実際に見てた?”という感じです。勿論フィクションなのですが、そう思わせないリアルさがあります。敢えて言わせて頂くと、オスカー・ワイルドの悪魔的な部分がちょいとぼんやりしていたかな、と思わないでもないですが、ビアズリー姉弟やアルフレッドを狂わせた“何か”を読者側で感じて。という事なのかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2021年読了分
感想投稿日 : 2021年5月5日
読了日 : 2021年5月5日
本棚登録日 : 2021年5月5日

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