『それでも世界は回っている 1』に登場した“電球交換士”のトビラさんこと十文字扉さんの物語、連作7話が収録されています。実は本書の方が先だったようですね。
世界でただ一人の“電球交換士”で不死身(かもしれない)の十文字さん。ちょっとアンニュイな雰囲気ながら、某寅さんよろしく行く先々で出会う“美女”達に心がグラついてしまう部分もあります。
そんな彼が、不死身(かもしれない)であるが故の憂鬱を抱えながら様々な事に巻き込まれていくのですが・・。
吉田作品ならではの、不思議だけど心地よい絶妙な世界観は健在で、十文字さん行きつけのバー<ボヌール>の常連メンバーをはじめ、登場するキャラも個性的でどこか浮世離れしています。
そして、この物語は時が移り行くにしたがって廃れていくものの寂寥感のようなものが根底に流れている感があるのですが、それでいて、心が良い感じに緩むような独特の読後感が良いですね。
個人的には第四話「煙突の下で」のオチが“やられた感”があって好きでした。
読書状況:読み終わった
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2022年読了分
- 感想投稿日 : 2022年4月20日
- 読了日 : 2022年4月20日
- 本棚登録日 : 2022年4月20日
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