――“なつかしき春の香の菓子並びをり のどかに集う言の葉の園”――
言葉と言葉が繋がり連なる「連句」という場を通して、主人公が前へ進んでいく姿を描くシリーズ第1弾。連作六話が収録されています。
勤め先の書店が閉店し、無職となった主人公・一葉。
亡き祖母が残したメモに従い、祖母が参加していた連句会にメモに記載されていたお菓子を持参して訪れますが・・・。
「連句」という言葉は知っていましたが、その決まり事については初めて知る事ばかりで、“結構細かいルールがあるのだな・・”と興味深く読みました。
ほしおさんの作品らしく、登場人物がいい人達ばかりなのと、一葉が書店員時代に描いていた“ポップ作り”の技術を活かせる仕事が、知人の紹介を通して数珠つなぎのような広がりをみせるという展開で、とんとん拍子過ぎるといえばそうなのですが、この優しい世界観が癒される感じで良いですね。
そして、一葉がお祖母さんの後を継いで“お菓子番”として、毎月持参する和菓子も魅力的です。
奥深い連句の世界と、今後一葉がどのようなご縁と繋がっていくのか・・次作を読むのが楽しみです。
読書状況:読み終わった
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2023年読了分
- 感想投稿日 : 2023年4月29日
- 読了日 : 2023年4月29日
- 本棚登録日 : 2023年4月29日
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