カフーを待ちわびて

著者 :
  • 宝島社 (2006年3月20日発売)
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本棚登録 : 1465
感想 : 313
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 いやー、傑作だった。
 「嫁にこないか、幸せにします」とか書かれた絵馬を頼りにやってくる女と、その女を疑いながらも惰性的に受け入れる男。そんな2人の奇妙な生活に、南国のゆったりとした時間の流れと裏のおばあが、いい感じに混ざり合う。
 
 明青が、幸からもらった最初の手紙を読んで、いたずらだと思いながらもいつ来るか、いつ来るかとそわそわして待っているところや、幸を迎え入れたものの、幸の素性をまったく知らないため、いつふっといなくなるかと、明青が気をもむところ、とっても共感できた。
 ずっと一人で生きてきた明青が、幸との生活に馴染んで、「また一人になったらどうしよう。でもそうなったときに傷つかずにいるために、過度の期待はせずにいよう」と必死に自分をごまかす。けれど、幸への思いは、コップが水でいっぱいになるかのごとく、あふれてこぼれる。
 その思いを伝えられない明青のもどかしさといったら・・・!! 

 個人的には、この作品の終わり方も好き。男女がくっついてめでたしめでたしー、ではない終わり方。物語の続きを、読者それぞれが作っていけるこの終わり方が、とっても好き。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 原田マハ
感想投稿日 : 2013年1月7日
読了日 : 2013年1月3日
本棚登録日 : 2013年1月7日

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