イメージの歴史 (ちくま学芸文庫 ワ 4-4)

著者 :
  • 筑摩書房 (2012年3月1日発売)
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本棚登録 : 486
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絵画・彫刻をはじめとするあらゆるイメージの、とりわけ「女性」というモチーフに何が求められてきたのかが古代ギリシャから現代に至るまで丁寧に分析されており、なるほどと(なんとなくわかってはいたことが明快に言語化されているが故に、結構ショックも受けた……)。特に、イギリス・アメリカ・フランスに於ける「自由」の捉えられ方、彼らの国家としてのアイデンティティの形成のされ方の違いを辿った上で、日本の公共彫刻に見られる謎の女性裸婦像を論じているのが面白かった。
あらゆる歴史上の国家・権力者の打ち出すイメージには当然のことながら(毒々しい・自分勝手な)メッセージが包まれていることを忘れずに、与えられたイメージを鵜呑みにして考えることを止めてはならないと強く思ったし、この貧しくなる一方の本邦において未だクールジャパンなどと独りで寂しく言い続けている様子に白けながら、この国の誇れるシンボルとは一体なんなのか、そんなものあるのか、作れるのだろうかとぐったりした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年1月15日
読了日 : 2023年1月15日
本棚登録日 : 2020年12月30日

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