遂に読み終わった、という気持ちがとても強いです。寂しい余韻が心を包んでいます。
初めはなかなか読みづらく、時代背景もイマイチつかめない(多分1910〜1920年頃、韓国併合が行われ、満州事変の前くらいと思う)ので、途中で読むのをやめようか悩みました。しかし、だんだん文章のリズムにも慣れ、話に入り込めるようになり、最後まで読み切りました。
主人公の時任謙作は真面目で真っ直ぐな性格、負けず嫌いで、せっかちでむっつりな性格。気取った主人公でないからこそ、親しみもあり、同時に共感できる部分もたくさんありました。
信行の気持ちや性格もよくわかります。とても長男らしい考え方で自分も家の長男なので気持ちの面で共感できる部分がありました。
景色、風景の表現がとても綺麗で、謙作の目線をそのままに描いており、これが写実的と言われる表現なのだなと良い経験になりました。(芥川龍之介が志賀直哉の小説は純粋だと評価している)
個人的に好きなシーンは登場人物の手紙の内容です。手紙から登場人物の心からの訴えがすごく伝わる。文章に迫力があり、とても引き込まれます。
私はこの小説をジャンル分けするなら、青春小説だと思います。謙作に襲いかかる全ての出来事に対し、葛藤し思い悩み成長する。思い立つ行動力や恋も、時代的な部分はありますが、今どきな言葉で言うとその行動全てが青春と言えるのではないでしょうか。
…うーん、なかなか感想を書くのが難しい。
読了には時間がかかりましたが、私はこの作品を読めてとても良かったです。人生おいて必読とは言いませんが、この作品を読む事は人生において無駄な経験と時間では決してないです。なので、気が向いた時にはいい機会だと思って、一度手に取って読んでみる事をオススメします!
- 感想投稿日 : 2024年2月16日
- 読了日 : 2024年2月16日
- 本棚登録日 : 2024年2月16日
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